日本最古の神明造/伝統保持する唯一の国宝
仁科神明宮は国宝に指定されている神社で長野県大町市に鎮座しています。国宝であることは長野県の人でもあまり知らないのではないでしょうか。参拝に行った日は休日にも関わらず、4~5人しかいませんでした。最近は外国人観光客を至るところで見かけるようになり、一部の観光地ではオーバーツーリズムが指摘されていますが、ここではそんなことはありません。静まりかえった境内の神秘的な雰囲気を味わうことができます。
創建の時期はさだかではありませんが、平安時代には建立されていたとみられます。地元の豪族である仁科氏が400年もの間、御守りしてきましたが、仁科氏亡き後は累代の松本藩主が祭祀を担ってきました。祭神は天照皇大神です。
国宝に指定されている本殿、中門、釣屋は、本殿と中門が釣屋で連結されています。寛永13年(1636年)の造営で江戸時代初期の建築物です。伊勢神宮に端を発する日本古来の神社建築様式「神明造」の建築物としては、わが国最古で唯一の国宝になります。20年ごとに建造物を建て替える式年遷宮については、永和2年(1376年)から20年ごとの造営を示す棟札が600年以上の間、1枚も欠くことなく残されており、大変珍しいものだといいます。
仁科神明宮は山あいの丘陵地に鎮座しており、一見すると里山にある神社という感じです。しかし、ひとたび境内に入ると大きな木々に囲まれ、静寂を感じることができます。鮮やかな木漏れ日と荘厳な趣のある本殿のコントラストが印象的です。
子どものころに訪れた記憶がありますが、そのころは寂れたところというイメージがありました。しかし、今回訪れてみてイメージが大きく変わり、お気に入りの神社になりました。車でないとアクセスしづらいところにあるのですが、それがまた仁科神明宮の魅力を高めている気がします。
【仁科神明宮】
所在地:長野県大町市社宮本1159
アクセス:最寄り駅 JR安曇沓掛駅から徒歩約30分