日本語教育能力検定試験とは

今回から日本語教育能力検定試験について記していきます。民間資格ではありますが、日本語教師を目指す人であれば試験に合格しておきたいもの。私はこれまでに4回受験して、何とか2021年に合格しました。1回目の受験から合格に至るまで紆余曲折がありました。日本語教育能力検定試験のいろいろなことに触れていきたいと思います。

 初めて知ったのは11年以上前

 私がこの試験を知ったのは、少なくとも11年以上前になると思います。確か初めて試験を受けたのは2011年ではなかったかと。以前にも記しましたが、日本語教師という職業に漠然とした関心はありました。2011年3月に東日本大震災がありましたから、その時に、今後の人生を見直す中で、日本語教師という職業を具体的に考えたのだと思います(すみません、記憶があやふやため、汗)

日本語教育能力検定試験は公益財団法人日本国際教育支援協会が実施します。同協会のホームページを見ると、留学生会館などの運営や留学生の援助資金事業、奨学金事業などが載っており留学生に対するサポートをしている団体のようです。このほかに留学生の日本語能力を測定する「日本語能力試験」や、今回ブログのテーマである日本語教育能力検定試験を実施しています。

同協会によると、日本語教育能力検定試験は「日本語教員となるために学習している方、日本語教育に携わっている方に必須とされる基礎的な知識・能力を検定することを目的としています」とあります。となれば、この試験に合格することは日本語教師の基礎的な知識・能力を持っていることを証明できるわけです。

 

 日本語教師採用の有力な要件

 だからこそ、試験合格にこだわることになります。何よりも日本語学校の日本語教師の採用条件の一つに挙げられているからです。もちろん前回に記した420時間の日本語教師養成講座の修了生でも日本語教師に採用されます。しかし、もし合格者と合格していない人の2人いれば、日本語学校はどちらの人を採用しようと考えるでしょうか。

 あと、養成講座の修了と合わせてついでに「合格しておきたい」という考えになります。養成講座では当然、日本語教師に必要な多くの科目を学んでいるわけです。ただ実際に試験勉強してみると、養成講座の内容だけでは、立ちゆかないことがわかります。試験対策の頭に作り上げる必要があります。

 広大な試験範囲

 日本語教育能力検定試験の何が大変かといえば、試験で網羅する範囲がとても広いことです。大きなくくりでは「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語一般」の5分野になりますが、それぞれの内容が濃いです。日本語教師になろうと思わなければ、一生、目にしないような用語や固有名詞が出てきます。特に人の名前はカタカナが多いので、混乱することがよくあります。

 試験は年に1回。例年10月の第4日曜日でしょうか。この日までに試験レベルをマックスに仕上げることができず落ちてしまったら、次の試験まで1年間待たなくてはいけません。ですから、受験すると決めたら絶対合格するつもりでやらないと時間が無駄になってしまいます。試験はマークシートによる選択式の問題と作文があります。満点は240点です。マークシートだけで6割以上採れないと、作文を見てもらえません。いわゆる足切りです。作文自体は20点ですが合否を左右することにもなるので、それなりに準備する必要があります。合格のボーダーラインは7割前後でしょうか。

 私が苦手だったのが音声問題です。外国人の誤った発音や話し方などを聞き取り、すばやくそれは何かを判断する必要があります。何度も日本語教育能力検定試験の過去問題集をやってもなかなか正解にたどりつけませんでした。音声問題は苦手という人は結構多いので、早めに着手する必要があります。

 合格率は20%代

 合格率は20%代で推移してきています。私が合格した昨年の試験では8301人が受験し、合格者は2465人と合格率は29.6%と限りなく30%に近づきましたが、試験はかなり難しいと感じました。初めて見るような問題もありましたし、作文のテーマは全く想定していなかったテーマで本当に焦りました。逆に難しかったので、合格のボーダーラインを少し下げたのではないかと勘繰ったりしました。

 受験料は1万4500円と高くなりました。以前は1万円ぐらいでしたが、新型コロナウイルス感染防止対策のため、会場のスペースをより広く確保するなど、経費がかかるため値上げしたようです(どうやってその事実を知ったのか忘れてしまいましたが…)。ですから、不合格になって「また来年頑張ろう!」と考えたとしても、試験代はかなりの痛手になります。

 試験範囲の変更

 2022年度から試験範囲が変更することになりました。今回から「必須の教育内容」(文化庁)に基づいて出題されるようです。昨年不合格で今年も受験しようと思っている人にとっては、実際の試験でどうなるか、ちょっと心配ですね。昨年のいつごろかわかりませんが、2022年度は試験が変わるという情報が出ていましたから「何が何でも今年のうちに合格しよう」と思った人は多かったと思います。私もその一人ですから(笑)。

例年、出版社のアルクから「日本語教育能力検定試験 合格するための本」といったムック本が1月に出版されているのですが、4月10日現在ではまだのようです。試験内容の実施要項は日本国際教育支援協会が4月下旬に発表するといっているので、それを踏まえてから出版するのかもしれません。いずれにしても2022年度の受験者にとって試験範囲の変更は要注意です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA