日本語教師の国家資格である「登録日本教員制度」では、資格を取得するのに二つのルートがあります。一つは日本語教師を養成する「養成機関ルート」。もうひとつは「試験ルート」です。
養成機関ルートは基礎試験が免除されるのが大きな特徴で、応用試験と実践研修をクリアするだけで合格できます。試験ルートは基礎試験をクリアする必要があり、そのうえで応用試験と実践研修に臨む必要があります。
どちらがいいかは費用や時間、自己管理能力、試験の得意・不得意など自分自身の特性を考えて選択する必要があります。
養成機関ルートについては、費用や時間をかけても着実に修了したい人に向いているでしょう。一方、費用をかけずに自己管理の下、勉強時間を捻出して試験勉強に取り組める人は試験ルートが適していると思います。
さて、ここから今回のテーマである「経過措置を考える」に触れたいと思います。登録日本語教員は制度がスタートしたばかりのため、現職の日本語教師らが登録日本語教員に円滑に移行できるようにするための経過措置を設けています。
ただ、この経過措置は少しややこしいです。
経過措置は、これまでに修了した日本語教師養成講座や日本語教育能力検定試験の資格有無などによって6ルートに分かれます。
一つ目は、日本語教師養成講座で必須の教育内容50項目に対応した課程を修了し、学士以上であれば応用試験に合格するだけで、登録日本語教員の資格を得るというものです。日本語を学校で教えている現職者でない人でも適用されるルートです。
ここでいう「必須の教育内容50項目に対応した課程」については、文化庁のホームページ(HP、登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認について | 文化庁)で、自らが受講した日本語教師養成講座が当てはまるかを確認する必要があります。
二つ目は、日本語教師養成講座で5区分の教育内容に対応した課程を修了し、学士以上であれば、「講習Ⅱ」の受講・合格と応用試験を経て登録日本語教員になるルートです。ここでの「5区分の教育内容に対応した課程」に該当しているかは、先ほどの文化庁のHPを確認すればわかります。
三つ目は、上記二つの課程に対応していない日本語教師養成講座を修了し、学士以上であれば、「講習Ⅰ」「講習Ⅱ」の受講・合格と応用試験に合格することで登録日本語教員になることが可能です。
四つ目は、1987年~2002年に実施された日本語教育能力検定試験に合格した人で、「講習Ⅰ」「講習Ⅱ」の受講・合格で登録日本語教員になれます。
五つ目は、2003年~2024年に実施された日本語教育能力検定試験に合格した人で、「講習Ⅱ」の受講・合格だけで登録日本語教員になれます。
六つ目は上記以外の現職者の場合は、基礎試験と応用試験が適用され、実践研修が免除になるルートです。
なかなか複雑で自分がどれに当てはまるかは、文化庁のHPでよく確認する必要があります。また、現職者の定義ですが、プライベートで教えている日本語教師は該当しません。
具体的には、「2019年4月1日(法施行5年前)~2029年3月31日(法施行5年後)の間に法務省告示機関で告示を受けた課程、大学、認定日本語教育機関で認定を受けた課程、文部科学大臣が指定した日本語教育機関(認定を受けた日本語教育機関が過去に実施した課程)で日本語教員として1年以上勤務した者」が該当します。
ですから、現在日本語教師として活動していなくても期間内に該当する日本語教育機関などで1年以上働ければ、登録日本語教員の経過措置を受けられることになります。
以上が経過措置の概要です。まず自分がどの経過措置に該当するかをしっかり把握することが重要です。
現職者であれば、何らかの試験が免除されます。私の場合、現職者としての資格はなく、受講した日本語教師養成講座は一つ目のルートで取り上げた「必須の教育内容50項目に対応した課程」に該当しないため、基礎試験、応用試験、実践研修の三つをガチンコでクリアしなくてはいけません。
ただ、1年間、指定の日本語学校などで教員実績を積めば、五つ目のルートで登録日本語教員の資格を得ることが可能です。
今年は勉強に力を入れ、試験に合格するよう頑張りたいと思います。