訪問記 金華山黄金山神社(下)

女川駅は田舎町の終点駅らしく、大きな駅舎も自動改札もなく、すぐに外に出られました。しばらく海に向かって歩くと道の両側にお店が並んでいます。帰りの時にわかりましたが、再開発で建てられた「シーパルピア女川」という商業施設です。行きはまず船乗り場へと思っていたので、気にせず通過しました。

女川港はそれほど大きくなく、何隻かの漁船が係留されていました。船乗り場に着くと、そこそこ広くて快適です。窓口で名前を言って予約したチケットを購入しました。天気は曇っていますが、無事出航できそうです。 写93

乗船、波高し 震災の爪痕は今でも…

船は50~60人ぐらいが乗れるほどの大きさでした。もっと小さいものを想定していたので安定感があります。推定10~15人ぐらいが乗船したのでしょうか。重油(?)っぽいにおいが少しします。船が出発するまでは波に揺られているので、あまり気持ちよくありませんでしたが、酔うほどでもありませんでした。エンジンがかかると大きな音を立てて動き出しました。雨はほとんど降っていないのですが、波はそれなりに高い感じです。数日前に来ていた台風の影響があるようです。

船員の方がマイクで話をしてくれました。ただ船のエンジン音で良く聞こえません。ところどころ聞こえてきたのが東日本大震災の話です。今でも震災の影響が残っていると言います。あらためて地震が残した爪痕の大きさに胸が痛みました。できればエンジン音がしない静かなところでじっくり聞きたいと思いました。

エンジン音と適度な船の揺れにより、乗船中はそこそこ寝ていました。ここに至るまであまりにもいろいろあったので、ようやく寝ることができたという感じです。

金華山黄金山神社への航路がある女川港

島に上陸 坂道を上る   

約40分で島に到着しました。下船した人たちは皆、黄金山神社に行く人たちです。大きな荷物を持った女性がいましたが、迎えに来ていたミニバンに乗っていきました。黄金山神社では一泊してお参りする人もいます。宿泊施設があるのでそこの送迎車が来たのかなと思いました。

岸壁から続く道をたどっていくと、そのまま神社に行くという感じです。島と山が一体になった感じなので、すぐに坂道となり上の方まで続いていきます。神社名を石に刻んである社号標と鳥居がありました。みんな鳥居やポーズ写真を撮っています。

坂道はそれなりにきついものがありました。この島にはシカが生息しているのですが、早速観ることができました。途中から、地面がアスファルトから土に変わりました。いよいよ登りが本格化する感じです。ある程度歩くと道の両側に大きな杉の木が列をなしていました。ただ根っこが枯れて傷んでいたり木が倒れたりしているものが多く、何ともいえない気がしました。このままだと5年、10年後にはなくなっているかもしれません。害虫?自然災害?どうしてこうなっているのか不思議に思いました。

杉の並木道を抜けると周りが開け、いわゆる境内に入りました。とうとう到着しました。

ここから金華山黄金山神社に向かいます
参道の杉並木。かなり傷んでいます

750年創建 金華山黄金山神社

ここで金華山黄金山神社の概要を紹介しましょう。今からさかのぼること約1270年前の天平21年(西暦749年)、陸奥の国主が朝廷に黄金を献上しました。大仏建立に黄金を必要としていた天皇は大いに喜び、年号を天平勝宝に改元しました。この史実はわが国で最初に産金したということであり、これにちなんで翌年、金華山に鉱山を司る金山毘古神、金山毘賣神を奉祀して黄金山神社が創建されたと伝えられています。

近代以前は山形県の出羽三山、青森県の恐山とならび東奥の三大霊場として修験者が訪れ、修行を積んだ人は金華山信仰を各地で広めたようです。また金にまつわる金山毘古神と金山毘賣神を祀っていることもあり、「3年続けてお詣りすれば、金に不自由はさせまいすまい」という御利益があるようです。

境内に到着。鳥居の奥に見えるのが隋神門

「お金に困らないように」

石段を登って拝殿に着きました。それほど大きくはありませんが古さを感じました。さらに山側の方に本殿がありましたが、こちらはより趣きがある建物でした。黄金山神社の上の方は山が続いており、より霊験あらたかな感じがしました。

参拝に来ていた子どもの声がうるさくお参りに集中できませんでした。せっかく来たのでもっとじっくりお参りしたいと思いましたが、参拝客が次から次へと来たのでいったん石段を下りました。

傘をさすのが必要なくらい雨が降ってきました。御朱印をいただき、休憩しながら黄金山神社のスポットをチェックしました。ここは日本五大弁財天の一社にもなっているので、そこにも行きました。銭洗い場がありましたが、雨脚が強くなってきたので小銭を洗う気にはなりませんでした。

先ほどは中途半端だったので、もう一度お参りすることにしました。雨はそこそこ降っています。これは浄化の雨だと思いました。人がいないのを見計らって「お金に困りませんように」としっかりお願いしました。その後、なぜか両手が温かくなった気がします。

拝殿に行くにはさらに石段を登ります
年月の長さを醸し出す御拝殿
2度目のお参りの時は写真にもはっきり写るほどの雨が降っていました

一大イベントを終えて

目標を達成して神社の近くにある食堂で昼食をとりました。かき揚げそばを頼みましたが味は…。

島についてから賞味2時間弱で船に乗り、女川港へ向かいました。一大イベントを終えてホッとした感じがあります。どっと疲れが出てきました。朝からいろいろあったのですが、それを乗り越えてお参りすることができました。

帰りは女川駅前の「シーパルピア女川」をうろうろしました。道の駅のような感じです。海鮮丼など地の新鮮な魚を使った丼物がありましたが、結構人がいて混んでいたほか列車の出発までそれほど時間がなかったので食べるのをあきらめました。来年は食べてみたいものです。

島には多くの鹿が生息している

仙台で牛たん定食

女川駅からは各駅停車に乗って仙台で降りました。せっかく仙台に来たので牛たんを食べることにしました。仙台駅はめちゃくちゃ混んでいました。この活況ぶりは何でしょうか。仙台駅にはレストランエリアがあり、牛たんが食べられるお店はいくつかあります。不思議なことに手前の店は人が並んで混んでいたのに奥の方にある店はがらがらでした。待つのは嫌なので奥の店に入りましたが、普通においしかったです。ビールもいただきました。その後、仙台駅で新幹線に乗り、大宮駅まで降りて在来線に乗り換え、無事家に到着しました。

翌日、船会社のホームページをみたら台風の影響で波が高くて船が出ない日があったことを知りました。でも、今回はもろもろの困難を乗り切って行くことができました。自分がやりたいことをやる、そのためにお金のことは心配しないで自由にやりたい-その気持ちが通じたのかと思います。今回の参拝で金華山黄金山神社とご縁ができました。必ずあと2回、お参りしたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA