420時間講座ってどう?(下ー1)

 日本語教師になる上で、420時間の日本語教師養成講座のメリット・デメリットをまとめたいと思います。とはいえ、私自身まだ日本語教師になっていないので、日本語教師になる資格を得るという観点から、メリット・デメリットをそれぞれ三つずつ挙げて考察したいと思います。今回はメリット編です。

【メリット1】養成講座をクリアすれば資格を得られる 

 日本語教師になるための資格要件として以前、三つの項目をあげました。

〇大学で日本語教育主専攻あるいは副専攻課程を修了した人  

〇民間企業が運営する日本語教師養成講座(420時間)を修了した人

〇日本語教育能力検定試験に合格した人

 この中では、養成講座に通って(最近は通信講座もあるようですが)、修了するのが最も難易度が低いと考えられます。最近は科目ごとに試験を行い、一定の点数以上をクリアしないと単位がもらえないといったことがあるみたいですが、試験自体がそれほど難しいわけではありません。日本語教師になろうと思っている人であれば最低限の必要な知識を身に付けることは当然です。

 ですので、時間をやりくりして勉強し、通い続ければ修了することは可能です。修了期間は自分で決めることができます。半年で終えることもできますし、2年かけてというのも十分ありです。とにかく日本語教師になろうと思っている人であれば一番とっかかりやすい手段ではないでしょうか。

【メリット2】実習で実践的な内容を学べる

 個人的には養成講座の一番の大きなメリットは、外国人を相手にした実習があることだと思います。教案を作って、授業の開始から終わりまで、どのように進めていくかを考えて実践します。授業で使う教材も自分で探したり作ったりなどの準備が必要です。

 私の場合、授業を受けた学生は大学の留学生だったため、必ずしも実際の日本語学校の学生の学力を反映したものではありませんでしたが、リアルな学生の反応をみることができました。授業に関心を持ってもらえたのかもらえなかったのか、自分の教え方が良かったのか悪かったのか、ダイレクトに結果がわかります。

 また、実習の様子は先生だけなく日本人の受講生も見てくれるので、良かった点や悪かった点をフィードバックしてもらえます。ほめられると単純にテンションが上がります(笑)。

 もちろん、実際の授業に比べれば時間も短かったり、もっと学生のレベルに合わせた教え方が必要だったりなど、実習はあくまでも“模擬授業”にすぎません。ただ、日本語教師として実際に教壇に立つには何が必要かということを知る上で非常に役立ついい経験だと思います。

【メリット3】仲間ができる/学校のサービスを利用できる

 養成講座では同じ日本語教師を目指している受講生がいます。年齢層もバラバラで20代からおそらく60~70代ぐらいまでとバラエティに富んでいます。私自身は残念なことに東京で通っている間は、顔見知りができたぐらいでした。人数が多いので、積極的に話しかけ、しかも授業が毎回同じといったことにでもならないと、なかなか仲間づくりは難しいと思った次第です。

 しかし、地方に転勤して、そこの教室では仲間ができました。人数が少なくいつも顔を合わせていたということもあったのですが、やはり大きかったのが実習です。グループで協力して教案を作成したり、お互いの模擬授業を見て評価したりしました。こうしてできた仲間は大切です。

 とはいえ、その後、再び転勤して東京に戻ったので、そこでのつながりは薄れてしまいました。それでも一緒に勉強した1人の修了生とは今でも連絡をとり、日本語教育に関する仕事づくりに向けて情報交換しています。こうした仲間ができるのは、養成講座ならではのメリットだと思います。

 ただ、これは私見になりますが、当人のキャラクターや同時期に通っている人たちとの相性、目指している方向、運なども関係してくるので、過度に仲間づくりを期待するのは良くないかもしれません。いい仲間に出会えたら「めっけもの」ぐらいの気持ちで臨んだ方が、期待外れになっても落ち込むことは少ないと思います。

 また、養成講座を運営している学校のサービスを利用できます。私が通った資格スクールは日本語学校も運営しているので、タイミングや要件さえあえば、その学校に勤務することも可能だったかもしれません。養成講座をサポートしているスタッフの人と顔見知りになれば情報提供もしてくれます。私の場合、養成講座はすでに修了していましたが、今後日本語教師として活動しようと思った時、養成講座のスタッフの人に会いに行って相談に乗ってもらいました。

 以上、養成講座を受講する三つのメリットについてとりあげました。他にもあるかもしれませんが、私自身が実感したものになります。

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