前回は420時間の日本語教師養成講座のメリットをまとめました。今回はデメリットについて考察してみたいと思います。
【デメリット1】費用が高額
420時間講座を開講している資格スクールを全部チェックしたわけではありませんが、修了に必要な費用はそれなりにかかります。私が通った資格スクールは50万円以上でした。
確かに大学に通うことを考えれば、費用は安く抑えることができます。大学に行くにはまず試験に合格する必要がありますし、4年間にかかる費用だけでなく時間は相当なものになります。日本語教師の資格を得るために大学へ行くという選択肢はあったとしても、現実的な問題として、社会人はまず選べないでしょう。そう考えると、420時間講座に通うというのは、確かに有効なことだと思います。
しかし、一般の社会人が数十万を投資するとなると、ある程度の覚悟を決めないといけないのも事実です。そこをどう考えるか。費用が高額でも、養成講座を修了して日本語学校などに就職して得られる収入が、それに見合うものであれば問題ないのかもしれませんが…。
【デメリット2】修了までに一定の時間がとられる
当たり前と言われればそれまでですが、養成講座を修了するには相応の時間がとられます。講座も「420時間」という基準が示されているわけですから、働きながらの場合はどうやって学校に通い勉強する時間を捻出するか。時間のボリュームに加え、取る必要がある講座の開講時間や時期が決まっているので、それに合わせる必要があります。
私が通っていた資格スクールのスタッフの方に聞いたのは、早ければ半年で終えられるとのことでした。その代わり平日の夜間や土・日曜日も通わないといけなかったようです。仕事をしながらですから、時間のやりくりは相当大変です。もちろん、会社の終業時間が5時半だからその後ならできる、という人もいるでしょうが。
私は結局、土・日曜日をやりくりして通いました。途中、転勤などがあって取りたい講座の開講時期と合わなかったこともあり、修了には足かけ4年かかりました。土日の両日ともどっぷり通っていたというわけではありません。土曜日に1コマ、日曜日に2コマなど、ある程度、分散して講座を受けていました(記憶がさだかではないので、正確ではないかもしれませんが…)。
一方で修了には長い期間かかりましたが、一歩一歩、自分がやると決めたことをあきらめずに終えることができた、という感慨もあります。物理的に半年とかは無理だったでしょうし。いずれにしても養成講座を受けるには、それなりの時間を割かなければいけないことを覚悟する必要があります。
【デメリット3】すぐに就職しない場合は実践力や知識力が落ちる
今、私自身が日本語教師になる上で現実的に実感しているのが、実践力がないことです。おそらく養成講座の実習を終えたすぐの時点で、ボランティアや副業的な形で外国人に日本語を教えていたら、そんなことにはならなかったでしょう。当時は実践力を維持しなければとは思っていましたが、ボランティアや副業をやるといった発想がありませんでした。それよりも日本語教育能力検定試験に合格しよう、という方向に意識が向いていました。
もし、本気で日本語教師を目指しているのであれば、養成講座に集中して通い、間髪入れず就職活動して日本語学校などに務める方がいいと思います。習ったことの知識や実践力を維持する上でボランティアをするのもいいでしょう。
「デメリット3」は養成講座そのものの問題というより、養成講座を受講した場合に気を付けておいたことがいいこと、という意味合いが強いですね。
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以上、2回に分けて養成講座のメリット・デメリットについて考察しました。養成講座もいろいろな資格スクールが開講しているので、中身を吟味してみる方がいいでしょう。今の私がもう一度受講するのであれば、修了後の日本語学校への就職率や修了生の進路などを重点的に確認したいと思います。高額な費用を払って時間をやりくりして420時間を修了したものの就職できない…ということになりかねませんので。私が修了した時の話になりますが、私の知人で実際、養成講座を修了してすぐに就職できた(した)という話を聞いた覚えがほとんどありませんでした。なぜかはよくわかりません。確かにすでに何らかの日本語教師的な活動をしていた人が多かったこともあるような気がしますが。この辺りは要チェックが必要ですね。
特に現在は新型コロナウイルスの感染流行によって、日本語学校では留学生の受け入れがストップしてしまっていたので、日本語教師の仕事がなくなったり、さらには日本学校が経営危機に陥ったりなど、大変な状況が続いています。一方、政府は新型コロナの感染状況を見ながら留学生の受け入れに動きつつあるので、その動向を注意深くチェックする必要がありそうです。