JR新宿駅西口の地下通路から徒歩6分余り行くと、ちょうど通路が開けた左側上空にツインの塔があるグレーの建物が見えてきます。東京都庁(第一本庁舎)です。スタイリッシュでありつつも重厚的な印象を与えます。高さ約243メートル、48階建て。完成した1990年当時は日本一の高さを誇りました。設計者は世界的に有名な建築家である丹下健三です。それまで都庁があった東京・丸の内から移転し、91年4月から業務を開始しました。
私が初めて都庁を見たのはまさに90~91年だと思います。ちょうど上京して大学生活を送り始めた時期と重なります。何かの機会に新宿に立ち寄った際、東京都庁を見た時に「権力の象徴だ」と何とも言えない反骨心を抱いた覚えがあります。その頃は多感な時期であり社会に対してもろもろ考えていた頃だと思います。新宿駅西口は超高層ビルが多いエリアでもあり、都会の象徴として圧倒されたのかもしれません。
今はさすがに社会経験を重ね、アラフィフになる中で当時のような思いはありませんが、首都「東京」という巨大な街を象徴する建物としての存在感はあると思っています。
45階(約202メートル)には、都内を一望できる展望台があります。現在は新型コロナウイルスのワクチン接種会場になっており、入室することができません。展望台には自由に誰もが弾けるピアノが置いてあります。早く新型コロナが収束し、晴れた日の展望室に昇って、軽やかなピアノの音を聴きながら都内の眺めを堪能したいものです。(樹)