訪問記 諏訪大社(2)

 御柱の「里曳き」に遭遇

JR茅野駅は商業施設と連結していますが、それ以外は周囲にめぼしいものがありませんでした。果たしてどこから前宮に行ったらいいのかとうろうろしていましたが、商業施設を出て道路を渡ったところに鳥居がありました。地図を見るとどうやら前宮に続いている参道のようです。ようやくスタートを切ることができました。時間はすでに11時5分。駅に到着してから20分がたっていたので少し早歩きです。

道の両側には民家が並び、のどかな風景が続いていました。この日は日差しがそこそこ強く、帽子を持ってこなかったことを後悔しました。土手から土手までの幅が20メートルくらいの川の橋を渡ってさらに進みました。いかにも田舎道という感じです。

さらに二つ目の川にたどりつき、土手を歩いていくと、祭りの法被を着た人たちがいます。「あれ、何だろう」。橋を渡り、地図を見ながらどんどん歩いていくと、たくさんの法被を着た人たちがうろうろしているのが見えました。「これは…」

なんと、予想もしていなかった御柱祭の「里曳き」に遭遇したのです。里曳きは氏子が御柱を引っ張って街の中を移動し、各社に向かう行事です。果たして近付いていいのやら…。でも、行けるとこまで行こうと、多くの人がいる場所に向かいました。ちょうど正午に近い時間だったせいか、休憩に入っているようでした。御柱を引っ張る綱は道路に置かれ、各々祭り姿の人たちが談笑したりワイワイしたりとにぎやかでした。法被やらは色とりどりでしたが、おそらく町内ごとに決まっていて、その一団ごとに統一しているようでした。

「里曳き」に遭遇。引き綱を道路に置いていたので休憩中らしい
「めどでこ」に載っている氏子たち。楽しそう

ちょっとテンション高めで写真を撮りながら、本来の目的である前宮に向かいました。境内にも多くの人がいたり引綱があったりと、カオス状態です。祭りの人がほとんどでしたが、観光客らしき人も一部いました。何とか前宮にたどり着くと多くの人が昼休み休憩をとっていました。前宮の建物の写真を撮りたいと思ったのですが、人がいっぱいいて思うような構図が決まりません。これはもう仕方ないという感じです。とりあえずお参りして、日陰に入って休憩をとりました。コンビニで買ったおにぎりをほうばり一息つきました。まさか里曳きとばっちり遭遇するとは…。何かラッキーです。

諏訪大社上社「前宮」。多くの氏子が前宮の周りで休んでいた。その横で列をなす参拝客
境内に運び込まれた御柱

 専用色紙がない!

くつろいだ後、当初の目的である長野県内9寺社の御朱印をもらうため、社務所を探しました。なかなかみつからずうろうろ。こじんまりした社務所をようやく見つけましたが、悲劇はその後、起こりました。県内9寺社の御朱印を押せる専用色紙を購入しようと思ったのですが「ない」というのです。「えっ…」。ショックで一瞬、どうしていいかわからなくなりました。その専用色紙がなければ9寺社の御朱印を集めるという目標が達成できなくなります。何で宣伝している(観光協会のホームページなどでは)のに現地にないんだ、という怒りが生じるとともに、どうしようもないやるせない気持ちになりました。

社務所の人曰く、あるのは駅前の観光案内所ではないかとのことでした。「いまさらそんなことを言われても困る…」。これまでのテンションが一気に下がり、どうしようかと逡巡しました。今から駅まで戻って専用色紙を購入し、再び前宮まで来る気力はありません。県内9寺社の御朱印集めは無理だ…。

ただ、諏訪大社の御朱印は御柱祭の年だけの特別のものです。これだけでも手に入れる価値はある。そう判断して社務所で御朱印帳を購入し、まず前宮の御朱印をいただきました。ここで気持ちを切り替え、諏訪大社の4社(前宮、本宮、秋宮、春宮)の御朱印を集めることを目標にしました。

そうなるとギアが入ります。前宮から約1・5km離れた場所にある本宮に向かいました。距離は諏訪大社のホームページで見たものですが、地図にはなぜか約2kmと記載してありました。この手の違いではもう動揺しません。

道路にはいくつかの集団ごとに「めどでこ」と呼ばれるV字型の木の柱の山車のようなものがあって、それぞれ休憩していました。いずれも本宮に向かっているようです。途中から道路が狭くなり氏子の一団があるので、まっすぐ本宮に行けなくなり迂回して到着しました。感覚的には前宮から本宮まで2kmもなかったと思います。

諏訪大社上社「本宮」に向かう道。多くの氏子たちが行進する

とにかく本宮で御朱印を手に入れることだけを考えていました。ところが本宮の境内に入れません。御柱を入れるためです。13時をすぎたせいか、めどでこに載った氏子たちが本宮の境内に突入していきました。なかなか思うようには進んでいきません。境内からは進軍ラッパの音が鳴り響き、氏子たちの突入を後押ししていました。氏子たちは「えいさ、えいさ」というような掛け声をかけて本宮の中への突入を繰り返していました。

 「本宮」に入れず

氏子の集団の後ろからその様子を遠巻きに見ていました。さて、自らがいつ境内に入れるのか、別の入り口に周って警備の人に聞きました。「入れるとしても夕方かもしれない」と今日2度目の衝撃的な言葉が返ってきました。「えっ…」。御柱祭の行事のため、今日は一般客の参拝もできなさそうなのです。

本宮では今その場で御朱印を得ることができないと知り、茅野駅へと向かうことにしました。当初の計画では路線バスに乗って戻る予定でしたが、ハプニング続きで時間管理ができていませんでした。また、バス停の場所がどこにあるのかもわからず、とにかく歩いて茅野駅に向かいました。事前の調べでは3・2km。かなり暑い日だったので厳しい時間でした。  いろいろな意味で疲れを感じながらなんとか茅野駅に戻りました。本宮がだめでもまだ秋宮・春宮があります。秋宮・春宮に行くには、茅野駅から列車に乗って下諏訪駅まで移動する必要がありました。一方で、本宮には別途来なくてはいけないと、思いました。(つづく)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA