訪問記 善光寺(上)

今年は「御開帳」の年

すでに4カ月前になりますが、5月の連休期間に長野市にある善光寺を訪れました。善光寺は今年、「御開帳」(4月3日~6月29日)のある年でした。御開帳とは数え年で7年に1度、絶対秘仏である御本尊の代わりに「前立本尊」を本堂に配置し、その姿を拝むことができる特別な盛儀です。

実は2021年が御開帳の年だったのですが、新型コロナウイルスの影響を考慮して1年延期されました。せっかくのめでたい機会ですから、これを逃さない手はありません。実家から電車で篠ノ井線を通り、長野駅で降りて善光寺に向かいました。 長野県では今年、諏訪大社も7年に1度の「御柱祭」が催されるなど、2022年は特別な年になっています。

そもそも善光寺とは

善光寺は長野県を代表するお寺です。「牛に引かれて善光寺参り」「一生に一度は善光寺参り」という言葉があるくらい、全国的にも知られているのではないでしょうか。

創建は644年。御本尊の一光三尊阿弥陀如来は日本最古の仏像とされ、絶対秘仏になっています。本堂は宝永4年(1707)の再建で、江戸時代中期を代表する仏教建築として国宝に指定されました。

善光寺で有名なのは「お戒壇巡り」です。本堂の床下の真っ暗な回廊を巡り、中ほどにある「極楽の錠前」に触れると、御利益があるというものです。中は光が全く差さず本当に真っ暗です。目を開けても何も見えません。壁伝いに手で確かめながら回廊を歩いていきます。錠前に触れると「やったー」というちょっとした達成感があります。

善光寺にはこれまでに何度か訪れたことがありますが「広くて大きい」というのと「戒壇巡りができる」という印象がありました。

立派な仁王門と山門

さて、長野駅に着いたのは午後2時頃です。善光寺を経由するバスに飛び乗り、10分ほどで大門前に降車し、参道を歩きました。5月の連休中ということもあり、そこそこ参拝客がいます。視線を前方に移すと、目に飛び込んでくるのが仁王門です。大きくて立派な門構えです。木製の仁王像は迫力があり、見とれてしまいます。

仁王門をくぐると多くの人が歩いていました。道の両脇にはいろいろなお店が並んでいます。門前町ならではの風景かなと楽しくなりました。さらに前方上方を見ると「祝善光寺御開帳」という文字が掲げられた山門があります。参道をある程度歩くことで、お参りする気分が高まることを感じました。 

参道を歩くと、まず目に飛び込んできた仁王門
迫力のある仁王像
多くの参拝客でにぎわう参道
山門には「祝善光寺御開帳」の文字が

前立本尊と縁を結ぶ回向柱

山門をくぐってまず目に入ってきたのが、本堂の前に垂直に立った回向柱でした。回向柱は「御開帳」ならではのものです。本堂にある前立本尊の手に結ばれた「善の綱」が回向柱と結ばれており、その回向柱に触れることは前立本尊と触れるのと同じこととして、ご縁が生まれ功徳があると言います。回向柱の上部には普段目にしない梵字が書かれており、仏教らしさを感じさせてくれました。

まず、咄嗟に「回向柱に触れなくては」と思いました。幸いなことに、そして意外なことにあまり人が並んでいませんでした。回向柱に触れるまでに並んでいた時間は5~10分程度でしょうか。新型コロナウイルス対策として消毒を行い、片手だけというルールに則って、ありがたみを感じながら触りました。1回触ったら今回の参拝の目的をほとんど果たしたような満足感がありました。

本堂前に建てられた回向柱
回向柱の上部に梵字の記載がある。宇宙を構成する「空」「風」「火」「水」「地」の意味だという

頭を「ポン!」

その後、本堂に向かいお参りします。多くの人が靴を脱いで本堂の中に入っていきましたが、その人たちのことはよく考えず、とにかくお賽銭を入れてお参りしました。その後、お坊さんに小さい座布団のようなもので頭をポンとされている参拝客がいます。何かよくわかりませんでしたが、ありがたみがありそうだったので並んで頭をポンとしてもらいました。

これは後ほど調べてわかったのですが「御印文頂戴」という儀式だそうです。善光寺の宝印を額に押された人は極楽往生できると言われています。通常は1年のうち1月7日~15日の間だけ行っているようなのですが、御開帳の時は毎日行っていたとのことです。何も知らずに挑戦したのですが、やってみるものですね。

御朱印をいただくために並びました。回向柱に触れる人よりも並んでいる人が多くて賞味15分ぐらいかかったでしょうか。午後の日差しが結構強くて「早く順番がこないかなあ」と待ちあぐねていました。

「前立本尊御開帳」の記載印がある御朱印をいただきます。目の前で書いていただきました。この期間しかいただけない御朱印としてありがたみがあります。御朱印をいただき、これでまた善光寺訪問の目標が達成した気がしました。(つづく)

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