日本には、江戸時代以前に建造された天守閣が残っている城が12城あります。うち国宝に指定されている城は5城しかありません。5城は私が生まれた長野県松本市にある松本城、姫路城(兵庫県姫路市)、彦根城(滋賀県彦根市)、犬山城(愛知県犬山市)、松江城(島根県松江市)です。このうち犬山城以外はすべて訪れたことがありました。ですからいつかは犬山城には行きたいと思っていたのです。5月のゴールデンウイークを利用して、犬山城に行くことを決めました。
最初は明治村も…
犬山城に行くにあたって、当初は同じ犬山市にある明治村にも行こうと考えていました。明治村は明治時代の建築物などがあり、日本が近代に西洋諸国と対峙した時の雰囲気に触れられる場所です。犬山城と明治村の移動にはそれほど時間がかからないので、1日で周ろうと考えていました。しかし、明治村にある施設をそれなりに見ようとすると、半日くらいはかかりそうでした。ましてゴールデンウイークであれば、混雑するのは目に見えています。新型コロナウイルスが5類に移行する前でしたので、少しは躊躇する人もいるかと思いましたが、世の中的には旅行客が増えだしていたので、1日で2カ所を周るのは無理だと判断しました。犬山城と明治村のどちらに重きを置くかと言えば、犬山城です。犬山城ありきのプランを考えました。
他も行けるのでは?
犬山城だけの訪問に絞り、時間ができるなと思った途端、少し欲が出てきました。犬山城に行く前夜、もともと日本各地にある一宮(ある地域の中で最も社格が高い神社)へのお参りをしていたので、犬山城近辺で行ける一宮はないかと探しました。すると愛知県一宮市に「真清田神社(ますみだじんじゃ)」と「大神神社(おおみわじんじゃ)」があることが分かりました。真清田神社は尾張国一宮として、まさに一宮市の市名のもとになった神社です。さらに真清田神社からそれほど遠くない場所に大神神社がありました。こちらも尾張国一宮のようです。神社であれば、移動時間は多少かかっても混雑して順番待ちということにはならないはずです。「行ける!」と新たなルート設定にわくわくして眠りにつきました。
快晴の朝
東京駅で8時の新幹線に乗るため、7時過ぎには家を出ました。朝は晴れていて気持ちがいいです。東京駅に着いたら売店で肉の万世の「万かつサンド」を購入しました。20年ぐらい前に仕事の差し入れで何度か食べたことがありましたが、久々に手にしました。新幹線が動き出してから口にほおばると、柔らかいパンとジューシーなカツがほどよくマッチングし、懐かしい味が口いっぱいに広がりました。気分は上々です。
さらに名古屋城も!
新幹線の中で全国の城について記載したガイドブックを広げ、犬山城について予習しました。ガイドブックは「100名城」を記載してあり、今回は100名城のスタンプラリーを久々に復活しようと思っていました。調べると前回は2011年で終わっていたので、12年ぶり(!)になります。その時、ふと思いついたのが名古屋城への訪問でした。「名古屋を経由して犬山に行くのであれば名古屋城も行ける」と。それからスマートフォンを駆使して名古屋城の状況をチェックしました。調べて見ると天守閣は木造復元に向け、中に入れないようです。しかし、スタンプを押すことは可能では、といろいろ時間などをシミュレーションしました。名古屋城に寄ってから犬山城に行く?それとも帰りに寄る?最終的には最優先すべきなのは犬山城への訪問と判断し、二つの神社を周った後で最後に名古屋城に寄ることを決めました。
名鉄名古屋駅で犬山へ
旅行というのは慌てると思わぬ事態に遭遇するものです。今回もそうでした。名古屋城への訪問が頭にインプットされたので、効率良く各所を周ろうという意識が高まりました。名古屋駅に9:39に到着すると、今度は名鉄の名古屋駅に急いで向かいました。乗り換え場所はそこそこ離れており、早歩きであわただしく名鉄名古屋のホームに飛び込みました。タイミングよく来た列車に乗り込み、一安心です。予定では10:18には到着するはず、と思ってスマフォをチェックしていたのですが、時間になっても犬山駅が現れません。目の前に飛び込んできたのは「木田駅」です。「あれ、おかしい」と慌てました。電車の窓からは田畑と住居ののんびりした風景が広がっていましたが、私の方はパニックに陥っていました。「とにかく降りよう」と次の駅の「青塚」で降りました。無人駅でした。
まさかの乗り間違え!
スマフォで調べると、どうやら名鉄名古屋駅で「新鵜沼行き」に乗らなければいけないところ、間違えて「弥富行き」に乗ってしまったことが分かりました。青塚から犬山まで行くには途中まで戻り、別の線に乗り換える必要がありました。「やってしまった…」。本来であれば10:35頃には犬山城に着いているはずでしたが、それより約1時間遅れることが分かりました。やはり焦ってはいけません。名鉄名古屋駅で行先をよく確認すべきでした。「名古屋城は無理だな」。青塚駅で次の列車を待ちました。(つづく)